息を吸うことによって新鮮な酸素を吸収し、吐くことによって不要になった二酸化炭素を排出する、
これが西洋科学に基づいた医学的説明だ。
ところが東洋のヨガや気功などでは、呼吸をもっと神聖なものと考えている。
呼吸とは命の元である「気」を採り入れることであるとしている。
そして日本ももともと「気」の文化だ。元気、やる気、勇気、気力、気分、覇気。
陽気に過ごす、気合いを入れる、気性がいい、気立てがいい。
気配り、気配・・・「気」に関する言葉が山のように存在する。
氣が枯れている状態を穢れ(氣枯れ)とも言う。
私が若い頃、ストレスで自律神経をズタズタにしてしまい、
その苦しさから逃れるため薬漬けになり、その副作用でどうしようもなくなり、
さまよって、さまよって最後にたどり着いたのが、世界的なヨガの指導者、沖正弘師。
師に最初に面談が叶った時、
愚かにも「先生、私の病気どうしたら治るでしょうか?」と訪ねたのである。
すると鬼のような形相で
「てめえの病気?俺の知ったことか!穢らわしい!とっとと死にやがれ!!!」
と一喝された記憶がある。
その当時は、さっぱり意味がわからなかったが、
今では師が私に何を伝えたかったのかよくわかる。
要するに依存の固まりであった私は、氣が枯れていたのである。
武道の極意も気を練り、気を操ることで会得できる。
そして気は呼吸によって培われる。
合気道などは、まさに呼吸の武道と言っても過言ではない。
空手道では、息吹と呼ばれる呼吸法が要だ。
神韻縹渺(しんいんひょうびょう)と言う言葉がある。
芸術作品などがもっている、表現しがたいきわめてすぐれた奥深い趣の意味だ。
日本の能や狂言、日本舞踊などの伝統芸能は、息を整え氣を練ることで、
この境地まで達すると言われている。まさに呼吸によって神の域まで行けるのだ。
ヨガでは、この「気」のことを「プラーナ(生命素)」と言う。
このプラーナを体内に最大限採り入れる行をプラーナヤマと呼び、
若返りの秘法として代々伝えられている。
実際、やってみるとすこぶる調子がいい。体中にエネルギーが湧き上がってくる。
この喜びを多くの人のお伝えすることが、氣枯れのどん底状態から大復活できた
私の使命だと思っている。
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